因指見其月
指に因って その月を見
因月弁其指
月に因って その指を弁ず。
此月与此指
この月とこの指と
非同復非異
同じに非ず また 異なるに非ず。
将欲誘初機
まさに初機を誘(いざな)わんと欲して
仮説箇譬子
仮に箇の譬子(ひし)を説く。
如実識得了
如実に識得しおわれば
無月復無指
月もなく また 指もなし。
「意訳」
指で月を示すとも月で指を知るとも考えられる。
この場合、月と指は同じものではないが、さりとてちがったものでもない。
この比喩は初学者を導くため、仮に説かれるのだが、その道理がそのままわかれば、月もなく指もなく、本来無差別なることを会得するだろう。『良寛詩集』東郷豊治編著
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